HE IS A PET.




「あのアパート」

 指差されたアパートは、まだ建って新しい感じの、グレーとベージュのツートーンの外壁だった。
 四角いドアが並んでいる。

 その一つの前に、人が座り込んでいた。発見するや否や、怜が側に駆け寄った。


「――アズミ、起きて。アズミっ」

 ドアに背中を預け、ヴィトンのバッグと紙袋と、何故か脱いだブーツに両脇を挟まれた状態のアズミンは


「起きてってば、アズミ。こんなとこで寝てたら、死んじゃうって。何で靴脱いでんの」

 声を掛けられても揺さぶられても起きやしない。相当飲んでるらしい、お酒臭い。

「怜、とりあえず中運ぼう」


 脱力しきった人間の身体は重い。
 細いから軽いと思っていたアズミンは、着痩せするのか意外に重く、触れると凍りつきそうなほど冷えきっていた。

 怜と協力して部屋に運び込み、リビングソファーの上に寝かせた。


 フルパワーで暖房が稼働し始めるけれど、

「……寒…い、寒……」

 血色のない唇が、うわごとのように繰り返す。

 怜がロフトを駆け登って取って来た毛布をアズミンにかけて、その上から、摩擦で温めるようにさすり続ける。


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