HE IS A PET.


「アズミ。お風呂、入ろう。あったかいお風呂。いま、入れてくるから」


 アズミンが薄く目を開けて、離れようとした怜の腕を掴んだ。

「……どこに……行く気、そばにいなさいよ。寒い…んだから」

 唇を震わせ青白い顔をしたアズミンは、本当に寒そうだ。

 上等な防寒コートに身を包み、その上から厚手の毛布にくるまれていても、身体の芯から冷えきっているため、暖まらないんだろう。

 手っ取り早いのは、やっぱりお風呂か。それとあったかい飲み物。

「いてあげて。私が入れてくるから」


 怜のアパートは、いわゆる『家具家電つき賃貸』らしい。
 最低必要限を備えた機能的な造りが、どこかビジネスホテルを思わせる。

 バスルームも然り。

 コンパクトなバスタブに、適温に設定されたお湯を流し溜める。
 十五分も経てば一杯になりそうだ。

 部屋に戻って、飲み物を入れたら帰ろう。
 イヴの想い出がアズミンの介抱だなんて、勘弁してほしい。


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