HE IS A PET.
「どうもお邪魔しました」
会釈して去ろうとしたら引き留められた。
「待って。送るよ」
「え、大丈夫です」
「危ないよ、女性の一人歩きは。怜くんは何してるの」
「怜は、アズミンの介抱で忙しいんです。駅近いし、大丈夫ですから」
「安住、来たんだ。介抱って、どうかしたの?」
「酔い潰れて、外で寝てて……いま怜が温めてます」
「そう。なら、やっぱり送るよ。寒いしね。車すぐそこに停めてあるから」
いま戸田さんがアパートに行っても、気まずい場面なんじゃないんだろうか。
ここは素直に送ってもらうべきかもしれない。
「じゃあ、お願いします。すみません」
コインパーキングに停めてあった、戸田さんの車に乗り込んだ。
八人乗りの国産バンだ。オフホワイトのボディ、後部座席の窓にはスモークが貼ってある。
車に乗ってしまうと快適で、電車を乗り継いで帰る気力が失せた。
「送り狼とかならないから、信用して」
助手席に強く残る香水の匂いに、苦笑した。
戸田さんはモテるだろう。
彼と聖夜を供にしたいと望む女性は多いだろうに、彼女たちよりも怜を選んで、会いに来たのだ。