HE IS A PET.
「随分酔ってた? 安住。エリックに入れ込んでたもんなぁ」
同情でもなく、呆れたように戸田さんが言った。
「昔からさ、周りが止めとけっていうようなヤツしか好きになんないんだよなぁ、安住って」
「ですよね……エリックとは、別れたんですか?」
「まだ好きみたいだけどねー。アメリカに子供がいるらしくてさ、エリック。子供のとこに帰らせるために、切ったみたいだね」
アズミンから、エリックと別れたと聞いた時には、単に熱が冷めたんだと思った。
エリックに子供がいたとは、衝撃だ。
いま七歳ということは、十五歳でパパになった計算だ。
結婚も認知もしなかったけれど、子供のことを愛していると語ったエリックに、アズミンは一万ドルの手切れ金を払って、国に帰したらしい。
「名目は、一応『モデル料』。見る?」
信号待ちになり、戸田さんはシートベルトを外して後ろの座席に手を伸ばした。
写真が入ったファイルを手渡される。
写っていたのは、エリックの裸だった。
一糸纏わぬ姿で背を向けて立ち、顔だけをこちらに振り向けている。奇抜な髪型はしていない。
少し長めの金髪を自然に下ろし、それを掻き上げるようなポーズを決めて、鋭い視線を向けている。
その挑発的な表情といい、質感がリアルに伝わってくるような筋肉質な身体といい、衝撃的な美しさだった。
しかし何よりも目を奪われたのは、背中一面を彩る艶やかな刺青に、だった。