HE IS A PET.
「またこっちに戻って来るかもしれないね。安住のコネを使えば、モデルの仕事もやってけそうだし」
嫌だな。戸田さんはどうして私にこんな話をするんだろう。
「怜くんのことだけど」
見計らったように切り出された名前に、どきっとした。
「安住が手離すようなら、僕が引き取りたいと思ってる」
手離すだの引き取るだの……やり取りされる怜の気持ちは、どこにあるんだろう。
「アズミンは、怜のこと絶対に手離さないって言ってましたけど」
「うん。でも、きっと僕に譲ることになるだろうね」
それはどこから来る自信なのか、まるで決定事項のように戸田さんは言い切った。
「戸田さんは……怜が好きなんですか?」
クルージングデートで鉢合わせた時、怜を口説いてる最中だと言ったのは、冗談じゃなかったんだ。
「ああ、誤解しないで。僕にソッチの気はないよ。怜くんには惚れてるけど、被写体として。怜くんの写真が撮りたいんだ」
「今も撮ってますよね?」
「AZMIXの専属モデル、『怜ちゃん』の写真じゃなくて。怜くんが撮りたいんだ。怜くん特有の色気っていうのかな、分かる? 特別美形って訳でもないし、いくら撮ってもカメラ慣れしないけど。僕だけに見せてくれる顔なんじゃないかって、自惚れたくなるような顔するから」
ああ、分かる。怜にあの顔をされると、自分が怜にとって無くてはならない存在のように思えてしまう。
実際は、いくらでも代わりがきくのに。