HE IS A PET.


「個人的には怜くんを撮りたいんだけど、怜ちゃんをポスターモデルに起用したいから口説いてくれっていう人がいてね」

 大手化粧品メーカーのポスターモデルらしい。
 もしその話を受けたなら、怜は一躍有名人になるだろうけれど、アズミンの許可が下りず、そちらも交渉中らしい。


 戸田さんの言う通り、怜は特別人目を引く美形ではない。
 ただ女の子みたいに綺麗で、男にしか出せない色気がある。その不安定で危うい魅力が、人目を惹き付ける。

 とはいってもほとんど素人同然の怜を、大手メーカーがモデルに起用したいだなんて

「本当ですか?」

「うん。ポスターで顔を売った後、『実は男の子』ってネタばらしをして、話題を呼ぶっていう戦略」

 なるほど、アズミンが反対するわけだ。

「怜は、そういうの絶対に嫌がりますよ」

 私も嫌だ。そういう風に怜が晒されるのは。

 話題性のための消耗なんて、怜には耐えきれないだろう。磨り減って無くなりそうだ。


「うん、知ってる。だから口説き甲斐があるよ。絶対堕としてみせる」


 戸田さんがこんなに強引で自信家だとは知らなかった。

 アズミンが怜を手離すはずはないのに。


「随分、自信があるんですね」


「自信が無きゃ、何事も成功しないからね」


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