HE IS A PET.
家から一番近いコンビニで、新年早々悟った。偶然って避けられないもんなんですね。
まあ地元だから、バッタリ会ってもしょうがないか。
脩吾がいた。
高二、高三とクラスメイトだった小泉脩吾。
大学は違うけれど上京したのは一緒で、二年半前までバンド仲間だった。
気づかなかったことにしてレジを済ませ、しれっと店を出ようとしたとき
「あれっ、サキ?」
ものすごくタイミング良く雑誌から顔を上げ、こっちを見た脩吾に発見されてしまった。
キョトンとした顔で目をパチクリさせたあと、にぱぁと満面の笑みになった脩吾は、
「うわぁ、すっげ嬉しー。サキ、会いたかったー。どっか変わった? 再会の記念に抱かせて」
相変わらず馬鹿だったので、一発殴った。
「ってぇー、サキちゃん、相変わらず凶暴。変わったのは外見だけなのねー」
「シュウは変わんないねー。もうとっくに性病で死んでると思ってた」
ファンに手当たり次第手を出してバンドの悪評を高めていたのは、こやつです。
「ひっでぇ。昔のことは水に流してよー。若気の至りってヤツ? 今は、ほら。この指輪が目に入らんかぁ」
ジャーンと効果音付きで目の前にかざされた左手には、ピカピカの指輪。
見るからにプラチナの輝き。
「え、結婚したの?」