HE IS A PET.


 家から一番近いコンビニで、新年早々悟った。偶然って避けられないもんなんですね。

 まあ地元だから、バッタリ会ってもしょうがないか。

 脩吾がいた。

 高二、高三とクラスメイトだった小泉脩吾。
 大学は違うけれど上京したのは一緒で、二年半前までバンド仲間だった。


 気づかなかったことにしてレジを済ませ、しれっと店を出ようとしたとき

「あれっ、サキ?」

 ものすごくタイミング良く雑誌から顔を上げ、こっちを見た脩吾に発見されてしまった。

 キョトンとした顔で目をパチクリさせたあと、にぱぁと満面の笑みになった脩吾は、

「うわぁ、すっげ嬉しー。サキ、会いたかったー。どっか変わった? 再会の記念に抱かせて」

 相変わらず馬鹿だったので、一発殴った。


「ってぇー、サキちゃん、相変わらず凶暴。変わったのは外見だけなのねー」

「シュウは変わんないねー。もうとっくに性病で死んでると思ってた」

 ファンに手当たり次第手を出してバンドの悪評を高めていたのは、こやつです。


「ひっでぇ。昔のことは水に流してよー。若気の至りってヤツ? 今は、ほら。この指輪が目に入らんかぁ」

 ジャーンと効果音付きで目の前にかざされた左手には、ピカピカの指輪。

 見るからにプラチナの輝き。


「え、結婚したの?」


< 133 / 413 >

この作品をシェア

pagetop