HE IS A PET.


「ん、秋に。できちゃった的なアレで。奥さんの家、チョー金持ちだから、逆玉ってヤツ」


 全然悪びれることなく、ニコニコと麗しい外見で笑う脩吾に、呆れることにも飽きている私は、

「そう、それはそれは。おめでとう。お幸せに」

 心からの祝辞を述べる。


 そして、ふと気になった。

「ね、結婚したこと。アズミンには言ったの?」


「タツキ? うん、言ったっていうかねー。チャペルに呼んだし。うちの奥さん、すっげヤキモチ焼きでさ。過去の恋人全員呼んで、その前で愛を誓ってほしいなんて言うわけ。一応分かるだけ招待したけどさ、来たのタツキだけだった」


「何それ。馬鹿じゃないの」

「は、何で? すっげ優しいじゃん。タツキが女だったら結婚してたかも」

「アズミンじゃなくて、あんた。ほんと馬鹿じゃないの」

「馬鹿バカ言うなー、傷つくじゃん」

「そんな繊細にできてんなら、そんな無神経なことするわけないじゃん。アズミン、シュウのことかなりずっと引きずってたんだよ。なのに、挙式に呼ぶとか鬼」


 アズミンのことだから、平気ぶって笑顔で祝福したに違いない。

 そういや、アズミンが思い立ったようにヨーロッパに旅立ったのは秋だった。
 あれも傷心旅行だったのかもしれない。


「嘘だー、それはナイって。別れて三年も経つしさぁ。それに俺タツキとは……あ、これここで言っても殴んないでよ?」


「なに?」


「一回もヤってない。口でしてもらったりはしてたけどー。抱くのは、無理だった。試してはみたんだけどねー」


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