HE IS A PET.


 ただ一つ、無性にイライラすることがあった。

 シュウの自堕落ぶりだ。

 ひたすら遊び呆ける毎日。
 せっかくの高学歴も親も泣いてるよ。生活費は親に仕送りしてもらってんの?と問いただすと

「社長さんのヒモしてる」

 とあっけらかんと答えやがった。

 自宅マンションにシュウを住まわせて、生活の面倒をみているというその『社長さん』はとことん甘いらしく、シュウが浮気三昧でも黙認している。

 そのことが一番腹立たしかった。


 もしも会うことがあったら一言物申してやると思っていたら、その機会は意外とあっさり訪れた。


 ある日の打ち上げで、べろんべろんに泥酔したシュウを引き取りに来たのが、例の『社長さん』、アズミンだったのだ。

 初対面の印象は強烈だった。
 シュウの話から女だと思い込んでいたら、女っぽい男の人が現れたのだ。

 中性的なルックスとすらりとしたスタイル。服装と髪型はメンズ寄りなのに、化粧と言葉遣いは完全に女。
 オネエなのだと、会話してすぐに理解した。

 会話してすぐに、その雰囲気に呑まれた。


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