HE IS A PET.


「マンションの下見、どうだったの? 絞り込めた?」

 不動産屋とマンション巡りをしてきたはずのシュウに問えば、

「んー。まあまあ、いー感じ」

 と抽象的な答えが返ってきた。


「決まってなくても、来週には追い出すからね」

 ずるずる居座られても困ると釘を刺すと、シュウは曖昧に笑った。


「サキちゃんはどうだったの? 二十歳くんと、決着ついた?」


「んーん、まだかかりそう」

 私の失恋を待ってると、シュウに言われた。

 失恋ならとっくにしてるけど、怜の幸せを確信できないことには、次の恋なんて出来ない。


「俺、いつでも待機してるから。泣きたくなったら、ハンカチにして」

 臭い台詞もシュウが言うと妙に軽々しい。

 ありがとうと言うと、シュウは天使みたいな極上のスマイルを見せた。
 ほんと調子がいいんだから。


 いつでも待機してるなんて言うくせに、夜になるとシュウはふらりと出て行って、翌日当たり前のように帰って来る、ということが度々ある。

 夜を明かせる場所が他にあるのなら、今すぐ追い出しても良さそうだけれど、眠れる場所はうちしかないのだと、シュウは言い張る。

 そして当たり前のように帰ってきては、へらへら笑って、だらしなくて、私に怒られるのだ。





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