HE IS A PET.

「いいのよー。吐き出して楽になれば。あたしが全部、ゴックンしたげる。あたしは吐き出したりしないわよ。苦いのもへーき」

 んふふと弧を描く唇が、やけに艶かしい。
 怜が宣伝していた『潤ツヤルージュ』かな、なんてどうでもいいことが頭を掠める。


「怜には話さない方がいいと思う?」

「勿論。だって、話さないでほしいって本人が言ってんでしょー?」

「でも、それは……」

 余命宣告を受けている悠里の心境を思うと、何とも言えない気持ちになる。


「咲希」

 目を合わせると、アズミンは女神のように慈悲深く微笑んだ。


「咲希が罪悪感を感じる必要なんて、全くないのよ。怜の飼い主は、あたしなんだから。チトセ兄は『怜の新しい飼い主』に、罪悪感を転嫁したかったんでしょうよ」


 罪悪感の転嫁という言葉に、思い当たる。

 怜に話せない秘密を、どうして私に話すのかと尋ねると、

「嫌がらせ」

 だとチトセは言った。


「アイツを可愛がる度に、悠里のこと思い出せよ。どんなに可愛がって、尽くされても、アイツにとってのあんたの代わりなんて、いくらでも替えが利くってことを教えといてやるよ」

 そんなことは、教えてくれなくても知ってる。

 怜は、悠里を失った虚無感をずっと抱えてる。淋しくてすがりつく相手は、さほど選り好みしない。



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