HE IS A PET.
「それに悪いけど、あたしは顔も知んないチトセ妹より、怜の方が大事よ。チトセが病床に伏しててもうすぐ死にそうだなんて、怜に教えてどうなると思うの? 怜のことだから、泣いて駆けつけて、尽くして、また置いてかれるのよ。今度は永遠に」
そうしたら、あの子また壊れちゃうじゃない。
そう呟いた声の仄暗さに、どきりとして目が合えば、アズミンは薄く微笑んだ。
「まあ、いいわよー。咲希がどーしても、怜をいたぶりたかったら。それで壊れても、あたしはあの子を捨てないから」
強い響きが胸を打つ。
「なんて顔してんのよぉー。咲希、大好きよ」
いつもの口調に戻ったアズミンは、んふふと笑って、店員を呼ぶためのコールボタンを押した。
「ねえ、やっぱりお酒飲んでもいーい?」
珍しく飲みたいと言うと、なぜか私にお伺いを立てる。
「いーよ。どうせタクシーで帰るんでしょ」
「えー、送ってくれないのぉ?」
「私が?」
「どちみち、あたしんち通る方向でしょ。ついでに送ってくれてもいいじゃない。何か問題ある?」
ある、大有り。
と答えて理由を訊かれるよりは、黙って送っていった方が面倒臭くなさそうだ。
マンション前で下ろせば、何の問題もないわけだし。
「いーよ、送ってく。気兼ねなく飲んで」