HE IS A PET.


 とは言ったけれど。

「なんで、あんだけでこんなに酔えるわけ?」

 常が酔っ払いのテンションだから、気づくのが遅かった。

 脈絡なく歌い出したり下ネタ連発なんかは、いつものことだから。
 あれ何か違うぞと思ったのは、車を発進させて一つ目の信号待ちだった。


「ね、咲希。あたしが子供欲しくなったら、産んでくれる?」

 唐突に変なことを言った。

 変なことを言うのはいつものことだけれど、落ち着いたトーンにいつもの含み笑いはない。
 本気なのかという疑問がよぎる。


「それって、どういう方法で。体外受精で代理母出産ってこと?」


「どういう方法でって、そんなこと真顔で聞くぅ? 咲希ったら、エローい」

 けらけらと笑うアズミンに、ようやく気づいた。

「酔ってる?」

「酔ってないわよー」

「って酔っ払いは必ず言うし」

「酔ってないけど、ちょっと催してしてきちゃったかもー」

「えっ、何。吐きそ?」

「違う、イキそ。も、……気持ち良くて……」


 語尾が聞き取れないほど小さくなったかと思うと、プツリと喋らなくなった。
 まさかと思って見やれば、

「寝てる……」

 まあ、着くまでそっとしておくか。その方がこっちも疲れないし。

 そう思ったのが裏目に出た。
 アズミンちに着き、声を掛けても肩を揺すっても、頬っぺたペチペチしても、もっと強くベチベチしても起きる気配がまるでない。


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