HE IS A PET.



 ああ、もう。
 仕方ないと観念して、スマホを手にした。

 マンションの駐車場に車を停め、待つこと約十分。
 歩いてくる怜を視界に捉え、緊張しないよう自制する。


「すみません、迷惑かけて」

 フロントガラス越しに会釈をしながら、助手席側に回りこんだ怜は、ドアを開けるなり謝った。


 数ヶ月ぶりに見る怜の、春っぽい服装や少し伸びた気がする髪の毛や、他人行儀な「すみません」に、突き放された気分になって、自己嫌悪する。

 どんな再会を期待してたんだと。


「ほんと。送らせて爆睡って、迷惑もいいとこだよ」

 怜は何度も謝ってくれて、私よりも無遠慮に執拗にアズミンを揺さぶった。


 それに反応して、微かに意識を取り戻したアズミンを無理やり車から下ろして立たせ、二人がかりで部屋に連れて上がる。

 ああ。いつかのメリークリスマスイヴとデジャブする。

 この流れで、また二人のラブシーンを目撃してしまう前に

「じゃあね、お休み」

 とっとと退散に限る。


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