HE IS A PET.
「えっ、ちょっと待って、咲希さん」
靴を履こうとしていると、後ろを追ってきた怜が慌てて引き留めた。
呼びかけられた響きに、忘れられない気持ちがじくりと疼く。
「そんな、慌てて帰らなくても」
お茶の一杯くらい飲んでって欲しいという申し出を頑なに拒否し続けると、怜は複雑な表情を淋しげに緩めた。
「そんなに……俺のこと、嫌い? 顔も見てたくないくらい」
「うん、そう。ペットなんか嫌いだって、言ったじゃない」
会いたくて会いたくて堪らなかった怜を目の前にしても、傷つけることしか出来ない。
傷ついた顔を見せる怜に、笑ってオヤスミを告げた。
「待って……咲希さん、俺のことが嫌いでも、アズミのことは避けないでやって」
聞きたくないと咄嗟に思ったのに、怜は懸命に言葉を紡ぐ。
「アズミ、咲希さんに久しぶりに会えて嬉しかったんだと思う。嬉しくて、飲みすぎて、酔っちゃうくらい。アズミ、咲希さんのことが好きだから。咲希さんがここに来るときは、言ってくれたら俺、いないようにするし……だから、またアズミに会ってくれるよね?」