HE IS A PET.
「アズミを、捨てるなんて……飼われてるのは、俺だよ?」
自嘲的な笑みをふわりと浮かべて、誤魔化そうとする怜は、前より大人びて見える。
戸田さんの元にいた間に、戸田さんの色に染まったのかもしれない。
「でも、チトセが戻ってきて欲しいって言ったら? それが彼女のワガママで、また捨てられるとしても。それでも怜は……チトセのとこに戻るんでしょ?」
「何で、そんなこと訊くの……俺がアズミといるの、そんなに目障り? チトセが、戻って来てなんて、言うわけがないのに」
「だから、もしもの話」
「もしもの話なんて、考えても意味ないよ」
怜は俯いて、視線を落ち着かせる場所を探しながら、刻むように言葉を繋いだ。
「引っ越したなんて、冗談で……もしかしたらって、チトセの家に毎日行った。もしかしたらって、学校へ行っても、チトセはいなくて。もしかしたらって、毎日探したけど……どこにもいなくて。どうしてチトセがいなくなったのか、全然分かんなくて。もしもをいっぱい考えて、全部実行したけど、そんなの意味なかった。俺の頭がおかしくなったって、周りに思われただけ」