HE IS A PET.



 約束の二週間が過ぎ、シュウが出て行く日がやって来た。

 なのにシュウときたら、荷物の整理もしていなければ、昨夜から出かけたまま戻って来ない。
 まあ荷物というほどの荷物もないけど。

 いつまで経っても新居を決めようとせずに、私をヤキモキさせていたシュウが、実家に帰ると言ったのが昨日の話。

 まさか地元に帰るだなんて思いもしなかった。
 上京して八年。すっかりこっちに馴染んでいるシュウが、今さら田舎に帰るなんて。


「何でまた」

 尋ねると、シュウはへらりと笑って

「じっちゃんが、もう長くないみたいなんだよねー」

 と答えた。

 去年胃がん切除の手術をして、先月他の部位への転移が見つかったのだと言う。

 シュウは冗談は言うけれど、嘘はつかない。


「じっちゃん、俺が家庭持ってスゲー安心してたから。離婚したなんて絶対言うな、帰って来んなって、親には言われたけどさあ。嘘ついたままじっちゃんを看取れないなんてヤだし。どっちが……じっちゃん不幸かなあ?」

 問われて、即答できなかった。

 シュウのおじいちゃんのことを思えば、「わざわざ心配かけるようなこと言わなくていいんじゃないの」とも思うけど、実家に帰って看取りたいというシュウの優しさを非難もできない。



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