HE IS A PET.


 大切な人の最期まで、嘘をついたままでいたくない。
 そう思うのは、シュウの我が儘で自己満足かもしれない。

 嘘を突き通す方が優しくて、正しいんだろうか?
 悠里みたいに。


「いいんじゃない、シュウが決めたんなら。それが間違ってるなんて、誰にも言ってほしくない」

 私だって言わない。

 シュウは一瞬素の顔になって、それから緩く笑った。

「ん、ありがとーサキちゃん。やっぱり愛してる。あ、何だったら俺と結婚して。じっちゃんが死ぬ前に」


「ねえ、もしかして私にプロポーズしたのって……」

 おじいちゃんのため?

 よくドラマとかで『死ぬ前に婚約者のフリを』とかいうやつ。
 手を握られて、「咲希さん、脩吾のことを宜しくお願いします」なんてお願いされたりするやつ。

 私の顔を覗きこんで、シュウが淀みなく言った。


「一緒にいたいから。それしかないよ」


 そう言ったくせに。昨夜からどこをほっつき歩いてんだか、帰って来ない。
 一緒にいたいなんて言って、実家に帰るくせに。

 何でイラついてんだろ。


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