HE IS A PET.
「六代目? んなもんいねーよ。人の話ちゃんと聞け。三代目が悠里のひい祖父さん、もう死んだ。四代目の現会長は、ひい祖父さんの次女の旦那だよ。ひい祖父さんには娘しかいねえ。跡目が欲しくて、五人生ませた子供は全員女ってな」
愛人には息子がいたらしいけどな、と付け加えてチトセは笑った。
ということは、現会長の四代目とチトセは、血の繋がらない遠い親戚ってことか。
わずかな期待が落胆に変わる。
もしチトセに組織内での権威が少しでもあるなら、
「怜のこと、守ってくれないの?」
チトセが私を見た。
丁度信号待ちになり、まじまじと見る。 驚異的なものを見るような眼差しで。
「俺が、アイツを守る? どっから、そんな発想が出てくんだよ。俺はアイツを、シメる気で捜してんだよ」
「それは、悠里の兄として? 翠幸会の一員として?」
少しの間を置いて、チトセが答えた。
「両方だ」