HE IS A PET.



 かくして、私は人質となった。


 どうにも変な話だ。
 悠里の遺骨と引き換えらしいけれど、行方不明の怜とは誰も連絡の取りようがない。

 交渉相手のいない人質なんて。

「意味なくない?」

 それに

「怜が犯人ってのが前提でしょ? 知らない人が犯人だったら、私を人質にしたって、犯人は痛くも痒くもないんですけど」

 ほんとに無意味だと思う。

 チトセが不機嫌な顔で私を見た。


「つべこべうるせえ人質だな。立場わきまえろ。人質らしく、縛られねえと分かんねえか? 縛る道具なら山ほどあるからな、魔女のコレクションがよ」

 チトセの脅しに口をつぐむ。

 魔女のコレクションと言えば、SMグッズだ。
 鮮烈に蘇る、怜の拘束姿。あれはエロかった。


「変態」

 ポツリ呟くと、チトセにぎろり睨まれる。

「ね、魔女は。帰って来ないの? 私がいたら帰りづらいとか、ないかな」

「あ? んなこと、監禁される側が気に病むことじゃねえだろうが。あんた、とことん危機感ねえのな。むかつく」


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