HE IS A PET.

 ぐいっとそのまま引き寄せられて、つんのめるようにしてチトセの身体の上に倒れこんだ。


「っ……」

 痛っ、なに何、なに!?

 離れようともがこうにも、痛いくらいに手首を握り込まれて、もう片方の腕が私の後ろに回りこんできた。

「ちょっ! どこ触って……」

「うるせえ、騒ぐな」

 温度を感じさせない低い声で、脅しつけるように私の耳元で囁いたチトセの視線は、どこか違う方向に向けられている。

 カチャリとその方向から音が鳴った。

 リビングのドアが開いた。


「いたのか、敦司」

 部屋に入って来たのは、坊主頭に近い頭髪の男だった。
 眉毛がないせいか、ギョロリとした目がやけに印象的だ。

「何で、ヤスさんがここの鍵持ってんすか」

 一応は敬語ながら、棘のある口調で尋ねるチトセに『ヤスさん』が苦笑いする。

「んなにツンケンすんなよ。用が終わったら、すぐに出てく。俺に構わず、続けてくれよ」


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