HE IS A PET.



 チトセの仕事に同伴して、雑居ビルの一角にある『有限会社 幸誠企画』にやって来た私は、テレビを見ながら天丼を食べている。

 チトセは女の子の送迎ついでに、店回りをしてくると言って出て行き、事務所には私と、電話番の金髪の男の二人だ。

 梶谷と名乗った金髪男には、見覚えがあった。前に初めて来た時にもいて、私を見て「面接?」とチトセに訊いた。

 今日も私を見て「面接?」と訊いた梶谷に、チトセが言った。


「俺の女。ちょっと置いてくけど、手え出すなよ、梶。触ったら殺すからな」

 梶は目を丸くして

「マジか」

 と呟き私をマジマジと見て、面白そうに笑った。


「へえ、愛されてんねえ~。ねえ、チトセって普段もあんななん?」

「あんなって?」

「ツンケンしてんの? それとも彼女にはツンデレる?」

「ん~……どうだろ」

 梶は『チトセの彼女』に興味津々らしい。
 あれこれ質問してくるけれど、私は本当の彼女じゃないから、真実は想像にお任せしたい。

 デレるチトセか……想像の域を超えるけど。

「はぐらかさんと教えてぇや」

 梶は西の方の出身らしく、中途半端に関東弁と関西弁の両方を喋る。
 どっちかに統一して欲しいなあ。

 あと、頭がプリンになってんのも気になる。根本の黒い髪、染め直せばいいのに。

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