HE IS A PET.


 ぼんやりそんなことを思いながら、出前で取ってくれた天丼を食べ終わる。

 梶は、素っ気ない私からチトセのネタを聞き出すことを諦めたらしく、奥のデスクに移動して、パソコンを弄り出した。

 時刻を確認すると、午後八時と思ったよりまだ早い。
 チトセは何時ごろ帰ってくるんだろう。私はいつ自分ちに帰れるんだろう?

 何か探れないかと、それとなく事務所内を観察してみたところ、あちこち雑然としている。
 はっきり言って汚ない。

「ねえ、ちょっとこの辺り、掃除してもいいかな」

 梶に尋ねると、目をパチクリされた。

「雑巾ある?」

「ぞーきん?」

「えっと、拭き掃除に使ってもいいような、ボロい布のことなんだけど……」

「そんくらい知っとるっちゅうねんっ……ははっ、咲希ちゃんおもろい子やなぁ」

 何がそんなにツボったのか、大笑いする梶の方が面白いと思う。

 物凄く不思議そうに尋ね返すから、雑巾知らないのかと思ったじゃん。
 実は大財閥のご子息とかで、雑巾なんて見たことないです的な。


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