HE IS A PET.
ウリって…………売春?
耳を疑った。
梶の乾いた声が、さらさらと鼓膜を撫でる。
「チトセの大事なもん、守れて良しとしてえや。そんな鬼みたいな顔して、ただの電話番相手に本気で怒らんでや。怖いやん」
「てめえ、それ本気で言ってんのか」
チトセが梶の顔を、片手で掴んで上向かせた。
まだ幼さの残る梶の頬に、不機嫌な指先が食い込む。
「『俺の大事なもん』の中に、お前が入ってねえとでも思ってんのかよ。ただの電話番だ? ふざけんな」
投げ捨てるようにして梶の顔から手を離すと、
「出てけ。電話番の代わりなら、いくらでもいるからよ」
チトセは私たちに背を向け、どこかに電話をかけ始めた。
「……梶っ……待って、梶!」
事務所を出て、プリン頭を追った。
梶は走って逃げる訳でもなく、かといって待ってくれもしない。
淡々と一定の速度で、歓楽街を歩いて行く。
もう少しで追いつけそうだと思って、前を歩く二人組のサラリーマンを追い越そうとしたら、ふらついて来た一人とぶつかった。