HE IS A PET.


 チトセには似つかわしくない私を、梶は嫌いなんだろうか。

「私は……」

「良かったわ、咲希ちゃんみたいな子で。チトセのこと、よろしく頼むで。もっと、のんびりさせたってえや。悠里ちゃん亡くしてから、チトセ、生き急いどるっちゅうか、死に急いどるみたいで、ひそかに心配やってん」

 悠里の名前に、心臓がどくりと反応した。

 悠里がいなくなった穴は、チトセの胸にもぽっかりと空いていて、その穴を埋めるために、チトセはチトセのやり方で足掻いているんだろうか。

「ほな事務所まで送るわ、姫」

 梶に寄り添われて、走って来た道を歩いて戻る。


「姫、喉乾かへん? 俺、乾いたわ。自販機寄ろか」

 買ってくれた缶ジュースの、プルタブを引いてから手渡してくれる梶が言った。

「はい、姫。溢さんようにな」

「溢すかいな。子供ちゃうんやから。それより『姫、姫』言うん、やめてくれへん? キミはホストか」

 梶の言葉を真似て突っ込むと、一瞬の静寂のあと爆笑された。


< 268 / 413 >

この作品をシェア

pagetop