HE IS A PET.
「梶からどんな話を聞いたのか知んねえが、あんたには関係ねえ話だ。あんたの住む世界じゃ物珍しいかもしんねえが、梶みてえなガキは腐るほどいんだよ。いちいち構うな」
思いもよらぬ忠告に、
『あんまり気にせんでなぁ』
梶本人からも言われたことを思い出す。
「ああ、それともアレか。あんたが可愛がってた可哀想なガキの代わりか。逃げやがったもんなあ、あの犬」
怜の話にすり替えて、チトセはますます饒舌に私を非難する。
「まあ、元々あんたの犬じゃないもんなあ。可愛がりたい時だけ可愛がって、粗相をやらかしたら飼い主に責任取らせりゃいーんだから、いいよなあ」
飼い主に責任を取らせる?
その言葉に急速に胸がざわついた。
「……アズ……安住に、何かさせたの?」
「取引をした。三日以内に怜を見つけて、引き渡せってな。期限までは待つ。それまでは誰も動かす気はねえし、誰にも勝手はさせねえ」
そう言えば……
『墓荒らしの件、チトセに一任されたらしいじゃねえか』
『どうオトシマエつけんのか、見物だなあ』
久米と有馬が話していた。
「真犯人の目星、ついたの? 会の内部の人間?」
「は? 今の話聞いて、どうやったらそんな話に発展すんだよ。真犯人なんかいねーっつってんだろが。探偵小説にでもかぶれてんのか?」