HE IS A PET.
「本当のこと教えて。怜を捜してるように装って、内部の目を外に向けておいて、真犯人が油断してる隙に証拠を掴むんでしょう?」
敵を騙すには、まず味方からって言うし。
私も騙されてんだ、多分。
「あんた……すげぇ推理力だな」
チトセが呆然とした様子で、名探偵わたしをマジマジと見た。
「じゃあ、やっぱり…!」
「全然ちげぇよ。まるで逆だっつの。内部犯行を匂わせてやったんだよ。俺が、敢えてそう仕向けた」
どうしてそんなことを?
自分は怜を疑っているのに、仲間には疑わせないようにして……
「怜を守ってくれてるの? 翠幸会から追われないように」
チトセは鼻で笑った。
「ああ。ただし、期限は明後日の午前七時。それまでに安住との取引が成立しなけりゃ、会を挙げて犬狩りを始める」
「取り引きって……」
「期限までに、悠里の遺骨と怜の身柄を引き渡してもらう」
「引き渡したら、どうするつもり? 怜のこと守ってくれるんじゃないの?」
「会の捜索からは守ってやる。手荒な奴らに捜索されるよりは、愛しのご主人さまに捜してもらった方が安心だろ? ぶっちゃけ、捜すコストを省きてえだけだ。会の人間を動かすとなると、それなりの経費がかかるだろ」