HE IS A PET.
「……でも、明後日までに安住が怜を捜せなかったら、どちみち会が動くんでしょう? 猶予が三日って、短くない?」
「それ以上は待てねえ」
三日で怜を捜せるだろうか。
見つかったとしても、チトセに、翠幸会に引き渡すだなんて。
「怜を引き渡したら、どうするつもり?」
「きっちりオトシマエつけてもらうに決まってんだろ」
極道の世界で『オトシマエ』と言えば、
「…………指?」
咄嗟に思い浮かんだ怜の、綺麗な指。傷一つつけて欲しくない。
「だっ、絶対、駄目。痛いよ。やだよ、やめない? そういうの。今どき、時代遅れじゃないの? 切り落としたら二度と生えてこないんだよ?」
「ああ、身体は大事にしねえとな。アイツみてえに、金になる身体は特によ。話題になった謎の美少女モデル『怜ちゃん』がAVデビューしたら、すげぇ売れると思わねえか?」
は? なに、AVって……
「怜は男の子だよ」
「『男の娘』だろ。女装させて、男の相手をさせる。ああそうだ、相手役は梶がいいか。あんたのお気に入りの二人だからな。生で見たかったら、特別に撮影見学させてやってもいいぜ」
私の反応を伺う、意地の悪い笑み。
「そんなマニアックなの見たいの、チトセだけだよ。まるきり変態の発想じゃん」
チトセと呼んでも、変態呼ばわりしても、チトセは怒らなかった。
「世間知らずだな、あんた。あんたが言う程度の変態なら、世間に十万といんだよ。怜は売れる、すげぇ稼ぐよ」