HE IS A PET.


「子供みたいで可愛いけど、そんなんでチトセと喧嘩せんといてや。仲直りしてくれへん?」

 この心配そうな優しい響きが偽りだったら、重度の人間不信になりそうだ。

 私は梶を信じたい。

「ごめん、チトセと仲直りは出来ない。私が怒ってんのは別件だし、別れようって言ったのはチトセだから」

 元から付き合ってないし。
 今さらそうとも言い出せない、私の方が嘘つきだと気づく。

「何やそれ、意味分からへん」

「大人の事情やから。分からへんでいいよ」

「そんなんズルいわ。俺、ガキちゃうで」

 不服そうな表情は、今まで見た中で一番子供っぽい。

「ガキでいいよ」

 もっとガキっぽくてもいいと思うのに、それ以上ムキになることもない梶は、大人びた顔に戻る。

「じゃあ、ガキらしいワガママ言うてええ?」

「何?」

「近く来たついででええから、また遊びに来てや」

 何だ、そんなことか。
 でも、この近くに来ることは多分もうないだろう。


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