HE IS A PET.


 自宅マンションに帰ったアズミンを数時間張り込んで、早朝に動きがあったため、また尾行して来たらしい。
 真崎さん……名探偵になれそうじゃないですか。

「そうしたら、如何わしい歓楽街に向うわ、怪しげなビルに入るわで、一体何がどうなっているのか。安住が出てきたら問い質そうと、待ち構えていたんです」

 そこに出てきたのが、私か。

「倉橋さん、教えて下さい。安住が何をしているのか。知らないとは言わせませんよ」

「知らない」

「じゃあ倉橋さんは、あのビルで何を? 誰かと会ってたんですか?」

「………あのビルに住んでいる人のところに、泊まって。アズミンに届け物してもらって。アズミンが3Pは嫌だから、先に帰れって」

 ほぼ真実を述べると、真崎さんの表情から何かが抜け落ちた。

「……その、ビルに住んでいる人っていうのは、どういう男ですか」

「ああ、いつもアズミンが好きになる系。だから、長続きはしないと思います」


 私は嘘をついた。

 アズミンが新たな恋に浮かれていると。
 社長を辞めたいなんてのも、熱病に浮かされたうわごとで、すぐに冷めるはずだと真崎さんに言った。


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