HE IS A PET.


 代わりに脩吾が抱きついてきた。

 犬みたいに尻尾は振らない。猫みたいな擦りより方で、初めて嗅ぐ香水の匂いをさせながら、

「出張、お疲れさま。会えて嬉しい」

 耳元で囁いた。
 そういえば、電話かかってきたときに出張中って嘘ついたんだった。

 甘さと清涼感が癖になりそうな妖しい香りに、追い詰められる前に押しやった。

「痛い、痛い。押さないでよ、ナギサちゃん」

「じゃあ、離れて。こっ恥ずかしいでしょうが」

 通学中の小学生たちが、ガン見しながら続々通っている。

 何だ、チューしねえじゃんという声が通りすぎる。

「ご期待にお応えして、しちゃう?」

 小首を傾げると、さらりと流れる栗毛。弧を描く可憐な唇。

 天使みたいな風貌で、堕とした女は数知れず。

「しない。馬鹿じゃないの」

 私はその数の中に埋もれたくない。


「あらぁ。なぁに、あんたたち。うちのマンション前で、青姦の打ち合わせでもしてんのぉ?」

 小学生の冷やかしなんて可愛いもんだ。
 下ネタの女王様、ただいまご帰宅です。




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