HE IS A PET.


 原っぱでやんなさいよーと手をひらひら振って通りすぎ、そのままマンションに入ろうとするアズミンを慌てて引き留めた。

「待って、アズミン。アズミンに話があって来たんだから」

「なぁに、話って」

「チトセと何の話してきたの?」

 アズミンはちらりと脩吾を見て、

「シュウは? サキちゃんに、くっついて来ちゃった?」

 と呆れたように尋ねた。

「んーん。先に来てたの、俺。タツキが飼ってるペット、見せて欲しくてさぁ」

「は?」

 それって……怜?
 ぎょっとする私をよそに、脩吾は屈託なく言葉を続ける。

「可愛いんでしょ? 可愛い上に、床上手なワンコ。チョー見たい。今いる?」

 アズミンは丸くした目を細めて、

「あいにく、いま留守なの。わざわざ怜を見に来るなんて、どういう風の吹き回し?」

 私の疑問を代弁してくれた。

「だって、サキちゃんが俺より好きだって言うから。どんなのか見たいじゃん?」

 誰か、ガムテープを下さい。このお喋り猫の口を、塞ぎたい。


< 300 / 413 >

この作品をシェア

pagetop