HE IS A PET.

 今は怜の飼い主じゃん。
 もう違うなんて、言わないでしょ?

 ねえ、アズミン。怜を捨てないでよ。

 脩吾の髪の毛を弄るアズミンの手つきがとても優しくて、そうやってよく撫でられていた怜を思い出す。


「ねえ、もう脩吾帰して」

 アズミンと二人で話したいことが、たくさんある。

「返してって、咲希のもんじゃないんでしょお? 振ったくせに嫉妬するなんて、わがままな女ねえ」

 いや、その「返して」じゃなくってさ。

「うっそ、マジでぇ? サキちゃんがヤキモチ焼いてくれるなんて、すげぇ嬉……」

「ここから追い出してって、意味なんだけど」

「ちょっ、サキちゃん。酷い!」

「そうよ、咲希ぃ。あんまりシュウを苛めないでやって。可哀想じゃないのぉ」

 泣き真似をする脩吾を宥めながら笑うアズミンに、いらっとした。

「ねえ、怜のことは? 心配じゃないの?」

 着替えもお金もスマホも持たずに、どこかに消えた怜。

 悠里の死を知って、それをどう受け止めたのか、受け止められなかったのかも知らせずに、いなくなってしまった。

 怜の、声だけでも聴きたい。

 元気じゃなくてもいい、泣いててもいい。弱くても、狡くてもいいから。

 ちゃんと生きてるよって、教えてよ。



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