HE IS A PET.

「……何でそんなこと言うの? 絶対に捨てないんじゃなかったの? 忘れてほしいって、怜が言ったから? あんなの、真に受けないでよ」

 だって、怜は言った。
 アズミがいるから、生きていけるんだって。

「怜、生きてけないじゃん。何も持たずに出て行って、どうやってご飯食べてるかとか、心配じゃないの?」

 眠れているのか、危険な目に遭っていないか、体調を崩していないか、心配すればきりがない。

「怜ね、一人じゃないの」

「え?」

「衣食住を提供してくれる大人と、行動を共にしてる。だから、食う寝る着るの心配は、しなくていいわ。今のところはね」

 衣食住を提供してくれる大人?

「……誰、それ。今のところはって、どういう意味?」

「たまたま怜を拾った人間。気紛れで拾って、しばらく匿えても、最後まで面倒を見るつもりも余裕もないでしょうから。そういう意味で、今のところは」

「その内、捨てられるってこと?」

「そうねえ」

 テレビ前で脩吾が雄叫びを上げている。大きな魚がヒットしているみたいだ。

「じゃあ、早く迎えに行ってあげて」

「今は行けないわ。チトセとの取り引きがあるから。ケリがついたら、怜は直哉に引き取ってもらうわ。直哉なら怜も懐いてるし、アパートもまだ解約してないみたいだし。だから咲希は、待ってて」

 必死にアズミンの言葉を追う。
 待つどころか、どんどん置いてけぼりを食らう。

「直哉もあたしと同じスタンスだから、怜に会うのも可愛がるのも、好きにしてくれていいのよ。ただ、ちょっと待っててほしいの」


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