HE IS A PET.


 優しく丁寧な怜の愛撫に、全身が蕩かされていく。
 唇、舌、指、吐息。全てで隈なく私を凌辱する怜は、甘い言葉は一切囁いてくれない。

 ただ、私の名前を繰り返し呼ぶ。
 興奮を押し殺したような、苦しげな響きで。

 今日ほど、自分が自分で良かったと思った日はない。
 愛しい人が、何度も呼んでくれるから。

「咲希……さん」

「怜、もっ……駄目、」

 欲しくてたまらないと見上げると、熱いキスがまぶたに落とされる。
 ずっと握りこんでいた左手が、温かい手のひらに包まれた。

「開けて、咲希さん」

 握っているのは、クローゼットの鍵だ。
 怜を、どこにも行かせないための物。

「や、嫌……行かないで」

「うん、でも……ゴム、持ってる? 咲希さん」

 子供を諭すような口調で、大人の事情を確かめる。
 六つも年下なのに、セックスの主導権を握っているのは、やっぱり怜なのだ。

「……ない」

「じゃあ取ってくるから、開けて。すぐ戻る」

 私の頬をするりと撫でる、優しい手つきにさえ感じてしまう。

 解かれる左手から、奪われる小さな鍵。


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