HE IS A PET.


「怜、倉橋先生をお部屋にご案内したら? 後でケーキ切って、持って行くから。失礼のないように、ね?」 

 怜ママが、にっこりと綺麗に微笑んだ。
 有無を言わせない笑顔、恐れ入ります。

 二階の怜の部屋は、意外にもごたついていた。

 片付いてはいるけれど、とにかく物が多くて、統一感に欠けるという印象だ。
 理由を推測するに、アズミンちから持って出た物が、元の部屋に不似合いなんだと思う。

 学生机の隣にスチールラックがあって、まるでショップのように、服や小物が飾られるようにして大量に並んでいる。
 本棚には高校の教科書、参考書、ファッション誌、写真集。

「怜も男の子なんだねー」

 グラビアアイドルの水着写真集が目についた。

「あ、それは、ポージングの勉強用。直哉さんが撮ったやつ、くれた。水着や下着の写真多いけど、仕事の参考にしたり、するためだから」

 慌てて言い訳する怜の、焦り具合が可愛い。
 言い訳じゃなくて、本当の事だろうけど。

 AZMIXの女の子モデルだった『怜ちゃん』は、仕事熱心な頑張り屋さんで、商品の売り上げに貢献していたから。

『怜ちゃん』を卒業してからは、普通の男の子……のはず、だけど。

「今でも、女の子の格好してたり、するの?」

 なぜか部屋に大量にある女子服。
 着ている怜を想像してしまう。うむ、私より似合う。

 日焼けした分、前より派手目が似合いそうだな。


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