HE IS A PET.


「仕事、楽しいんだね。良かった。ねえ……さっきの、アズミンの話だけど、 わざわざ言わなくても良かったんじゃない? せっかく『いい社長さん』で通ってたんだし」

「いい社長さん、だよ。おネエだってのは、いつか分かるかもしれないことだから。なら、俺の口から言った方が、いい。隠すのは、やましいことしてるって思われるから」

 言葉とは裏腹に、怜はばつが悪そうな顔をした。

「……もしアズミが欲しいなら、俺の身体くらい、いくらでもあげて良かったんだ。アズミが拾って、生かしてくれた身体だから……でもアズミ、ペットに乗られる趣味はないわよって、そういうの嫌悪して。生きてるだけで可愛いから、いいって」

 懺悔のようなトーンで言って、ふわりと笑った。

「男が可愛いなんて言ってもらえるの、十代までだよね。俺、もう大人だから。バリバリ働いて、仕事で返す。父さんと母さんにも、後でまたちゃんと話して、ちゃんと分かってもらうから」

「……しっかりしたね、怜」

 お遍路の旅が変えたのか。

 オドオドといつも不安げに、物欲しげに、すがるように、私を見ていた友達のペットは、自立した。

 首輪を外し、自分の意志で、自分が選んだ場所に立っている。

「もう、心配いらないね」

 嬉しいはずなのに……淋しいなんて駄目だな、私。ちゃんと笑えてる?


「うん、色々ありがとう、咲希さん。もう大丈夫、心配しないで」

 怜も笑う。晴れやかな笑顔で。

 もうペットなんかじゃない。


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