HE IS A PET.


「あっくんから、電話があったんだ。アズミと咲希さんの顔に免じて、許してやるって。好きに生きろって。聡子さんには二度と会うなって、言われけど」

 チトセが?

『怜に言ってやって。もう許してるって』

 私のお願い、聞いてくれたんだ。


「ところで、前も思ったんだけど。咲希さんとあっくんって……名前で呼び合うほど、仲良くなったの?」

「え?」

「咲希って、呼んでた。咲希さんも、敦司って呼ぶよね?」

 それは……恋人ごっこの名残もあるけど、怜の前では、チトセと呼べない理由があるからだ。


「怜は、何で悠里を『チトセ』って呼ぶの?」

 学校で知り合ったのならともかく、幼馴染みで、恋人だったのに。
 苗字呼びって不思議だ。

「ちっちゃい時は、ゆうりちゃんって呼んでたよ。小二の時かな、悠里がチトセって呼んでって。俺を守るためだったと思う」

「どーいう意味?」

「金魚の糞みたいだって、よくからかわれてたから。多分、妬みもあったんだと思う。悠里は、みんなのお姫さまだったから。何で、俺みたいな奴がいつも一緒なんだって」

 苗字に呼び変えることで、何か効果があったんだろうか?

「でも、公認のカップルになったんでしょ? 怜だって、王子さまみたいにかっこいいんだから」

 男女の仲の良さを冷やかされる時期なんて、一過性のものだ。
 それを過ぎれば、誰もが羨むカップルだったに違いない。


< 400 / 413 >

この作品をシェア

pagetop