HE IS A PET.
「で、咲希さんに……、ちょっと待って」
小物類を吊ってある棚から、怜がひょいと手に取ったのは、水色の小さな紙袋。白文字のブランドロゴ、ティファニーだ。
「返すの遅くなって、ごめん」
まさか。
「新しいの、買ったの?」
「うん、見てみて。同じので間違いないか」
微笑みが向けられる。
「何で、わざわざ買ったの? 無くしたとか、返せなくなったんなら、そう言ってくれれば……てか、返さなくていいのに。貸したんじゃなくて、あげたつもりだし」
怜の笑顔が曇る。
「無くしてないよ。咲希さんから預かった、大事な物だから、無くさない。返せないのは……ずっと着けっぱだったから、汗とか、汚れとか、気になるから」
は?……この子、何言ってんの?
脳ミソのどこかが、プツリと切れる音がした。
「汚ないって? 思うわけないじゃん」
「咲希さんが思わなくても、俺が思う。汚ないの返したくない」
「だから、あげるって言ってんじゃん。買って返せなんて言ってない。大体、誰のお金で買ったの、これ。アズミンのお金?」
アルバムを見た時、気にはなったんだ。
お遍路の羽織に袈裟、杖、水筒、海パン。どうやって手に入れたのか。
「私が買ってあげるって言ったら、嫌がったくせに。アズミンには、ほいほい何でも買ってもらうんだね」