HE IS A PET.
「……旅の、条件だったから。条件呑めなきゃ、お遍路はさせらんないって。二十歳くるまでは、俺の保護者代わりだから、当然責任も権利もあるでしょうって。……でもこのピアスは、アズミのお金で買ったんじゃないよ」
怜が自分のお金で買ったというなら、それはそれで喜ばしくない。
働き出したばかりの、まだろくに働いてもいない新社会人に、こんなこと求めてない。
「……バイトしたお金だから」
しょんぼりとした怜が、呟くように言った。
「バイト? AZMIXでじゃなくて?」
「うん。直哉さんに、個人的に頼まれたバイト。一日だけ」
『個人的に、怜くんを撮りたいんだ』
前に、戸田さんが話していた希望に思い当たる。
女装したモデルの怜ではなく、怜自身を撮りたいと熱っぽく語っていた。
『自分だけに見せてくれてるんじゃないかって、自惚れたくなるような顔をするから。怜くん特有の、色気っていうのかな』
怜の不安定さが、魅力だと言っていた。
「そのバイトって、写真のモデル?」
「うん」
「脱いでる?」
ズバリ聞くと、怜は驚いた顔をした。
否定の言葉は出てこない。
「嫌だったんじゃないの?」
断られて、口説き中だと戸田さんが言っていたのは、随分前の話になる。
今さら引き受けた理由が、このピアスを買うためだったのなら、責任を感じる。
「十代最後だから、残すのもいいかなと思って。裸っていっても、局部が写ってるとかはないと、思うし」