HE IS A PET.


「もう心配しないで。大丈夫だから。咲希さんが祈ってくれたように、これからは俺に祈らせて」

 怜が真っ直ぐに私を見る。 
 以前のように、怯えや媚びはない。

 全てを受け止める覚悟を決めたような、強く、優しく、それでいてどこか切なげな瞳で。

「何を?」

 これは愛の告白? それとも、別れの餞別?

「咲希さんの幸せ」

「祈るだけ?」

「祈るし、頑張る。頑張って、甲斐性のある男になるから。咲希さんの願いが、叶えられるくらい。大人になるから」

 真剣な口調で、紡がれる言葉の一句一句。
 耳から届いて、頭で理解して、胸がぎゅっとなって。

 涙が零れた。
 怜の言うことは、やっぱりちょっとズレている。

「頑張らなくて、いい。私の願いくらい、たちまち叶えてよ」

 涙でぼやける、怜の困り顔。

「もう、いなくならないで」




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