HE IS A PET.

「え、っと……」

 二人にされても、困る。
 と思ったのを察したのか、お孫さんは気持ちを取りなすように微笑んだ。

 年は三十歳くらいだろうか。清潔感があって、落ち着いた雰囲気の人だ。


「お引き留めしてしまって、すみません。一言、お礼が言いたくて。ここで会えて良かったです」

 彼はふわりと淋しげな色を浮かべると、私を見て言った。

「今度、お食事でもいかがですか?」

「お食事、ですか?」

「ええ。会計士さんなんですよね? ちょっとご相談したいことがあって……」

 ああ、そういうことね。
 新手のナンパかと思った。この場でそれは無いよな。

 礼服の内ポケットから名刺ケースが取り出されるのを見て、私も慌ててハンドバッグから名刺を取り出す。


「改めまして。故人平林康雄の長男の長男、守田敬一です」

 おじーちゃんの『長男の長男』ということは、順当に考えれば本家の跡目だ。

 どうして名字が違うんだろう。
 そう言えばおじーちゃんの病院を継いだ平林先生は、次男だったな。

 咄嗟に思ったアレコレを頭の隅に追いやって、仕事用の自己紹介を返した。



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