嘘から始まる運命の恋
ホント、いい演奏を聴かせてもらった。忘れていた情熱を思い出し、耳も心も頭も洗われて、心底すっきりした気分。
最後の曲が終わって、メンバーを称えるために私は惜しみない拍手を送った。続いておまけの一曲、アンコールも終わり、ライブハウスはもう一度盛大な拍手に包まれたが、それもやがてまばらになる。客が席を立ち始める中、私はほぅっと息をついた。できるだけ長く余韻に浸っていたくて、一番後まで席に残る。私を除く最後の客が出口に向かうのを見て、ゆっくりと立ち上がった。
ああ、堪能した。
幸せな気分で出口に向かい、いざドアから出ようとしたとき、目の前に黒いジャケットの片腕がぬっと伸びてきて、私の行く手を遮るように戸柱に手をついた。
「せっかく来たのに、俺に会わずに帰るつもり?」
驚いて顔をあげた私の目の前に、アルトサックス奏者のナガオカ・ケイさんが立っていた。
なんで私は初対面のサックス奏者に壁ドンまがいのことをされているんだろう。
そう思った次の瞬間、ナガオカ・ケイさんが言った。
「真由里?」
「あ……」
最後の曲が終わって、メンバーを称えるために私は惜しみない拍手を送った。続いておまけの一曲、アンコールも終わり、ライブハウスはもう一度盛大な拍手に包まれたが、それもやがてまばらになる。客が席を立ち始める中、私はほぅっと息をついた。できるだけ長く余韻に浸っていたくて、一番後まで席に残る。私を除く最後の客が出口に向かうのを見て、ゆっくりと立ち上がった。
ああ、堪能した。
幸せな気分で出口に向かい、いざドアから出ようとしたとき、目の前に黒いジャケットの片腕がぬっと伸びてきて、私の行く手を遮るように戸柱に手をついた。
「せっかく来たのに、俺に会わずに帰るつもり?」
驚いて顔をあげた私の目の前に、アルトサックス奏者のナガオカ・ケイさんが立っていた。
なんで私は初対面のサックス奏者に壁ドンまがいのことをされているんだろう。
そう思った次の瞬間、ナガオカ・ケイさんが言った。
「真由里?」
「あ……」