嘘から始まる運命の恋
 妹の名前を呼んだということは、このナガオカさんが妹の体目当ての男、長岡か。

 でも、たしか名前は……。

「快?」

 じゃなかったっけ?

 私のいぶかしげな視線に気づいて、彼が、あっという表情をした。

「うちのバンド、偶然なんだけど、メンバーが全員、名前や名字に〝ケイ〟ってついててさ。だからケイズ・ジャズ・クインテットってバンド名にしたんだ」
「全員?」

 そう言われてメンバー紹介のときのことを思い出す。たしかトランペッターはヤマザキ・ケイタさん、ピアニストはカケイ・シュウイチさん、ベーシストはオオミヤ・ケイジさん、ドラマーはヒガシダ・イッケイさんだった。

「で、カイもイニシャルはケイだろ? だから、俺はケイ・ナガオカって名乗ってるんだ」
「ふーん」

 思わず納得してから、しまった、と思った。真由里は〝ふーん〟なんて気のない返事はしない。へー、そうなんだぁ、ステキ、とか、よく考えてるぅ、とか、なにかしら相手を褒めようとするはずだ。

「へ、へー、そうなんだぁ」
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