プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「......棄権した方がまだマシだよ。

決勝だぞ?テレビ局だって、新聞記者だってきてる。
こんなとこでメッタ打ちにされて、恥さらせるかよ。
いい笑い者だろ。
学校でも、......家でも。

とにかく俺は、ゼッテーやらねー。
やるなら、お前らで勝手にやれ」

「それ、本気で言ってるの?」

「ああ、本気だよ。
最初から、今年は捨ててるっつったろ。
そもそも、ここまでこれたのが奇跡で、みのるのメガネのことがなくても、俺らに甲子園はムリだ。

こっから先は恥かくだけだよ、んなダセーこと、」


どこを見てるのかも分からない目で、吐き捨てるように、今までやってきたこと全てをバカにするかのような茶髪パーマが異様にムカついてきて、気づくと思いっきり敦士を殴っていた。

バシッと気持ちの良い音がして、呆然と打たれた頬を押さえる敦士に、さらにつかみかかる。


「アンタが......、自分からキャプテンやるって言ったんでしょ!?
ダサくてカッコ悪い野球やる、って自分が決めたんでしょ。

今さら何ビビってんの?
メッタ打ちにされて、何がカッコ悪いのよ!
直前になって逃げるやつよりは、コールド負けでも最後まで戦うやつの方が絶対かっこいいよ。

何かっこつけてるのか知らないけど、一番ダサいのアンタじゃん!」


「みどり先輩」


敦士の制服につかみかかるあたしの勢いに、みんな目を丸くしていたけれど、一番早く自分を取り戻した一輝くんがあたしの手をつかんで、やんわりと敦士から離した。
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