プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
「俺が代わりに行ってきます」

「......一輝くん」


メンバー表を受け取らない敦士の代わりに、それを受け取った一輝くんを一度見てから、またあたしは床に視線を落とした。


「大丈夫です。敦士先輩は逃げません。
こがんことで逃げる男じゃなかばい」


うつむくあたしの手をにぎり、笑顔を見せた一輝くんにどう答えていいのか分からず黙っていると。

敦士は舌打ちしてから、一輝くんの手のなかのメンバー表を取り上げた。


「......かせ、俺が行ってくる。
ったく、今の俺に好きに書かせて、どんなメンバーになっても知らねーかんな」


あたしとも一輝くんとも目を合わさずに去っていく敦士を呼びとめようとしたけど、一輝くんがそれを制したのでおとなしく見送る。


「なんか、.......ついカッときて色々言っちゃったけど、言い過ぎたかな」


敦士の背中を見ながらそうこぼすと、一輝くんはもう一度しっかりと手をにぎりなおして、優しくあたしの頭をなでてくれた。


「大丈夫、大丈夫です。
敦士先輩は、ちゃんとわかっとうけん。
敦士先輩を信頼して、メンバー表任せるって言ったんですよね?」

「......ん」



あたしの頭をなでる一輝くんに一言だけ返事を返してから、そっと身を寄せる。


さっきは敦士があまりにも情けないことを言うから、カッときてしまったけど、試合が始まる前から、いきなりチームの雰囲気をグチャグチャにするつもりじゃなかった。

それに、敦士も口ではああ言ったけど、本当に逃げたりするやつじゃない、とは信じてる。


だけどそれを上手く伝えられずにいるあたしの心の中を、一輝くんは全て分かってくれているような気がして。
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