プリマネ!恋はいつでも真っ向勝負
もう他の部員は帰り、あたしたち三人だけになった部室。

敦士はそのポスターをとって、マジックペンで何やら書き足す。


「こういうのはどうよ?」


ニッと白い歯を見せて、親指を立ててきた敦士からポスターを受けとる。

みんなで楽しく野球しませんか?と書かれたポスターには、

今ならプリティーでとっても可愛いマネージャーと一日デート権付き!
お持ち帰りできるかどうかは君の腕次第!

と付け足されていた。


「アンタねぇ......、こんなんで部員くるわけないでしょ」

「分かってるって、もちろん冗談、」


あの熱血モードが嘘みたいに、いつものチャラモードに戻ったATSUSHIにはあきれてしまう。

敦士が最後まで言葉を言い切る前に、あたしが持っていたポスターをのぞきこんでいた一輝くんがそれを奪い取ると、ぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱に投げ捨てた。


「敦士先輩、何考えとうとですか!
いくらキャプテンでも、こがんことは許せんばい!」

「は?いやいや、だから冗談だっつの。
何でそんな怒ってんの?」


デート権をプレゼントとされた張本人のあたしは軽く流してんのに、なぜか真剣に怒り出した一輝くんに、思わず敦士と顔を見合わせてしまった。




< 56 / 623 >

この作品をシェア

pagetop