白い花が咲いたなら

 好きな女の子と放課後デートしたかった。


 好きな女の子と一緒に下校したかった。


 好きな女の子と手を繋いで歩きたかった。


「だからお願いします! 好きな女の子と……怜奈とキスさせて下さい!」


 ヒザとオデコがくっつくんじゃないかってくらい、近藤くんは頭を下げて頼み込んでいる。


 あたしは目と口をパカッと開いたまま、そんな彼を見て……


「ぷっ。あはは!」


 つい、吹き出してしまった。


「なんだよぉ? 笑うなよ! こっちは本気で必死なんだぞ?」


 じとぉっとした目で見上げる近藤くんを見ながら、あたしは笑いが止まらない。


 だって、おかしいよ。


 キスって、そんな丁寧に必死に頼みこんでするもんなの?


 それじゃムードもなにも無いじゃん。

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