鬼系上司は甘えたがり。
服の上からペタペタと触ってネックレスの感触を探してみるも、奥平さんに言われて、そこで初めて自分の首元にあるはずのものが無くなっていることに気付いて驚愕の声を上げる。
クリスマスに主任がプレゼントしてくれた、あのネックレス--まさか落としちゃった!?
「すみません、お手洗いはどちらに……」
「あちらの土産物売り場の隣りにございます」
「ありがとうございます……っ!」
眉間にしわを寄せ、神妙な面持ちで奥平さんが手渡してくれた、トップ不在のチェーンを握りしめ、急いでお手洗いへ向かう。
服の中に入っているのかもって奥平さんも言っていたし、まずは本当にそうなのかどうか、確かめてから取り乱したって遅くはないはずだ。
お手洗いへ駆け込み、服の裾を引っ張り出したりバサバサと払ってみたりしながら、床に落ちたら絶対に鳴るはずの“チャリン”という金属音に全神経を耳に集中させて聴覚を研ぎ澄ます。
「うそぉ〜、なんでよぉ~……」
けれど、どんなに服を払ってみても、耳を澄ませてみても、もしやと思い床を舐めるように凝視してみてもトップは見つからず、無駄に体に空気を送り込んだだけで終わってしまった。