鬼系上司は甘えたがり。
「いえ、大丈夫です」と言おうかとも考えたけれど、私を見上げたときの奥平さんの目がとても真剣なものだったので、嘘がつけなかった。
すると、フッと息を吐き、奥平さんが言う。
「でしたら、とことん探しましょう。そんなに泣きそうな顔をなさらなくても、俺が必ず見つけます。さっき、車の中と仰られたので、渡瀬さんはそちらを探して頂けますか? 敷地内のほうは、ここが片付いたら俺が探します」
「え、そんな……っ!」
わざわざ探して下さっているのに、これ以上は迷惑を掛けられないと思い、全身で遠慮する。
けれど奥平さんは「代わるものはないと言い切るくらい大事なんでしょう?」と穏やかな口調ながら有無を言わせぬ迫力をもってそう言い、私の口をいとも簡単に噤ませてしまう。
それを言われると、返す言葉もない……。
「すみません、ありがとうございますっ」
結局、奥平さんに深く頭を下げた私は、彼が指示してくれた通り運転してきた社用車へ駆け込み、中を引っ掻き回す勢いで小さな小さなペンダントトップの捜索に躍起になった。
仕事の話をしに来たはずが、まさか行方不明になったペンダントトップを探すことになるなんて、奥平さんだって微塵も思っていなかっただろうに、なんて優しい方なんだろうか。